「典故300則」その288
2013-07-06


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 今日の主人公は、“断琴の交わり:非常に親密で深い友情”という言葉の故事

となった“〓伯牙”。 晋の上大夫(外交官)という重職にあったが、琴の名手とし

ても高名を博していた。

 典故300則その288:知音 zhi yin

 春秋時代、楚の国に〓伯牙という音楽家がいた。 ある時、彼が船の上で琴を

弾き月を愛でていると〓子期という薪取りの若者が琴の音を聞きにやって来た。

〓伯牙が言った。“私が一曲弾きましょう。 あなたは私が何を想って弾いている

のか聞いてみて下さい。”

 弾き終わると、〓子期が言った。“あなたは高く聳える山を想っています。”〓

伯牙が、もう一曲流水を表現した曲を弾くと、〓子期が言った。 “あなたは滔々

と流れる流水を想っています。”

 〓伯牙が喜んで言った。“あなたは本当に私の音楽を知っている!” 二人は

延々と音楽を語り合い、ともに兄弟の契りを結び、来年〓伯牙が〓子期の家を

訪ねることを約束した。二年が経ち、〓伯牙が〓子期の家を訪ねると〓子期は

既に亡くなっていた。〓伯牙は〓子期の墓前で葬送の曲を奏で、弾き終わると

その琴をたたき壊してしまった。

 その後、人々は“知音”を、音楽を愛好する人、あるいは理解し合っている友

を喩えるようになった。
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 以後、彼は生涯琴を弾じることはなかったという。
[雑学]

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